本製品は可燃性溶媒や薬品などを保管する防火・耐火キャビネットです。消毒用エタノールは消防法では【危険物第4類】に分類されています。通常、消毒用エタノールは、殺菌効果が高い76.9～81.4％（v/v）で使用されており、80リットル未満であれば、規制なく貯蔵・保管ができます。１L入りであれば79本まで無許可で保管が可能です。しかし、これだけの量のエタノールに引火、燃焼した場合の熱エネルギー量は極めて高く、一瞬にして室内の酸素を消費し尽くします。これは火災時に急速な延焼の引き金となるだけではなく、酸欠や高濃度の二酸化炭素により、数分以内に人が意識を失うことを意味します。消火活動中に意識を失って死亡する事故が多く報告されています。病院では入院患者がいるため、特に職員が少ない夜間時の避難誘導にはかなりの時間を要します。
地震国日本では、建物構造は強靭になってきていますが、地震による断水で消火活動も十分にできない場合の対策はまだまだ不十分といえます。病院内での消毒用エタノールの保管方法は、もっと留意されるべき課題と言えます。
